TNQ Writer
常夏ケアンズの本格サマータイムは、青空と強烈な太陽の下で気持ちも身体も追い込んだトレーニングするのに適している環境なこともあり、北半球が冬の季節に日本からも多くの水泳チームがケアンズにきてトレーニング合宿を組んでいます。
オーストラリアは水泳大国であり国民全体で東京都民ほどの人口にも関わらず、オリンピックなど世界の水泳大会でのメダル獲得数は他国に負けない活躍をみせています。
ケアンズにもオリンピック規準プールだけでなくローカル向けの50メートルプールなどがあります。
各施設にはジム機材なども豊富に揃い、トレーニングの質を押し上げていることが選手層の厚さになっていると容易に想像がつきます。
水泳はオーストラリア人にとって国技とも言える種目であり、小さな頃から誰もが親しんできた身近なスポーツという背景があります。
2023年度の合宿に参加した瀬戸大也選手『人も気候も温かいケアンズ。オンでは仲間達と限界を超える高い強度の練習で追い込みつつ、オフではリラックスできる環境はトレーニングしやすい場所でした』とコメントしています。
それではケアンズで日本人選手及びコーチから人気のプールをご紹介します。
トゥブルックプール
Tobruk Memorial Pool Cairns
オーストラリアのオリンピックチームもトレーニングで使う本格国際規準50メートルプールがあり、ワンランク上の環境で本格トレーニングを行うのに適しています。
✤ 50メートルプール (10レーン・深さ2m)
✤ 25メートルプール (6レーン・深さ1〜1.35m)
✤ 25メートル温水プール (深さ1.2m)
✤ 子供用プール
✤ トレーニングジム施設
✤ 更衣室&シャワー (温水あり)
✤ フローライダー (ボディーボード用)
ウォーリープール
Woree Sports and Aquatic Centre
ケアンズ郊外に位置することもありアットホームな雰囲気で、ローカルスイマーが話しかけてきたり交流体験もできます。日本人コーチが所属しているので施設だけでなく多岐にわたる相談ができるので安心です。
✤ 50メートルプール (8レーン)
✤ 25メートルプール
✤ 子供用プール
✤ トレーニングジム施設
✤ 更衣室&シャワー (温水あり)
ケアンズ合宿の魅力
日本の選手を引き連れてケアンズで合宿をしている日本を代表する各団体のコーチからケアンズ合宿の魅力を聞いてみました。
1 ケアンズを選んだきっかけ (ケアンズとの縁)
2 ケアンズ合宿の良い点、大変な点
3 選手層
4 オフの日の過ごし方 (コーチ、選手)
5 宿泊施設の選出
6 食事の準備
7 利用しているプール
8 プールまでの移動手段
イトマンスイミングスクール
イトマンスイミングスクール 強化コーチ / 堀之内 徹 (Toru Horinouchi) コーチ
① 19年前に新婚旅行を兼ねて家族とケアンズを訪れてパームコーブで挙式をあげた事が縁の始まりかもしれません。Tobrukプールが新しくなりジェットスター航空も就航したきっかけでケアンズに決めました。
② イトマンのコーチに就任し冬期に強度の高い練習をするために温かい場所を探しケアンズの気候は最適と思い決めました。実際に選手達の反応もとても良いと思います。安全管理上、治安が良いことも重要だと考えています。また日本が花粉症やインフルエンザの時期に来ることで、それらの心配のないケアンズで練習に集中できることも利点だと思います。一度雨が続いた年があったのですが、陸上で記録をつけているコーチ陣が大変だったことはあります。でも、それ以外では大変な思いはしたことがありません。
③ 社会人、大学生。イトマンに集まってきてくれている日本のトップ選手の中でも世界で戦える人財を連れてきています。
④ 合宿7年目になるのでケアンズの過ごし方にも慣れてきて、短いオフはラグーンプール周辺をリゾート気分を味わいながらぶらぶらしたり、カフェが多いのでお気に入りのカフェ探しをしたりしています。1日オフ日はグレートバリアリーフでシュノーケルやダイビングを楽しんだり、キュランダやポートダグラスまでの海岸線をドライブなどもします。何をしても人混みに埋もれることがないので予定を入れないオフ時間にリフレッシュできるのも魅力です。
⑤ 食事準備のためのキッチンが必要なこともありアパートメントタイプのアコモデーションを利用しています。今年はサザンクロスアパートメントを利用していますが、選手達はホテル仕様の部屋を2名でシェアさせています。
⑥ 今までは選手と一緒に楽しく自炊を行なっていましたが、今回はオリンピック前ということもあり日本からシェフに帯同してもらっています。主にランチ&ディナーの準備をしてくれています。朝食だけは選手各自に任せているのですが、厳しいトレーニング後すぐに食事を摂ることはとても重要と考えています。シェフが用意してくれることで時間のロスもなく、栄養価も考慮できるため大変重宝しています。毎回選手達にも分担して日本から食材や調味料を持ってきていますが、入国時にしっかり申請すれば全く問題なく持ち込めていま
す。
⑦ Tobruk Poolを利用しています。屋外プールですがタープ式の屋根が張られているので水温が上がりすぎず選手達も肉体的に追い込む練習ができています。
⑧ レンタカーを2台(人も荷物も多く積めるSUV)を使って移動しています。
東海大学水泳部
東海大学水泳部 主任コーチ / 加藤 健志(Tsuyoshi Kato)コーチ
① 大学の教え子(筆者)がケアンズに住んでいたため新婚旅行で訪れた際ケアンズの気候に惚れました。その後合宿のコーディネートを依頼してオリンピックで金メダルを狙う選手を連れてきてリオ五輪にて金メダルを取らせることができました。
② 真夏の太陽の下で選手達に泳ぐことの気持ちよさを再確認してもらえますね。日本が冬の時期に高負荷の練習で肉体的にも精神的にも追い込める南半球にあるケアンズは特別な場所だと思います。今年は外食も取り入れたのですが、物価の上昇ということもあり高額に感じた部分があります。
③ 大学生、社会人。人間力を高めるためにも東海大の学生に参加してもらっています。オリンピックを狙う社会人選手がみせる生活の中の姿勢に触れることでも何かを掴んでくれると信じています。
④ 今年は半日オフの日はパームコーブビーチを散歩したりカフェで食事をして海外気分を味わいました。1日オフ日は何度も訪れているミコマスケイでグレートバリアリーフを満喫しました。ビーチからのシュノーケルでサンゴの群生やウミガメと一緒に泳げるので大好きな場所です。
⑤ 自炊をメインに行うためアパートメントタイプの施設を利用しています。毎年、スーパーマーケットへのアクセスが良く市内にあるマントラトリロジーを利用しています。
⑥ ケータリングを利用する日もありますが、トレーニング後に担当選手を決めて自炊を行なっています。買い出しは調理担当の選手がメインに行っていいます。日本にいる栄養士の先生に食事を撮影し内容の評価を行ってもらい、追加で必要な栄養のアドバイスを受けています。
⑦ 午前と午後のトレーニング内容や気持ちの切り替えを行うためWoree PoolとTobruk Poolを交互に利用しています
⑧ プールがシティから少し離れた位置にあるのでレンタカーを利用しています。以前は大型のワンボックスを借りていましたが、今年は人数も多かったので7名乗りのSUVを2台借りました。
大阪・枚方スイミングスクール
大阪・枚方スイミングスクール 主任コーチ / 太田 伸(Shin Ota)コーチ
① ヘッドコーチとして訪れたシドニーでの国際大会時に現Woreeプール・コーチの鬼頭(Ryo)コーチと出会い、それ以降家族ぐるみのお付き合いをしています。昨年Ryoコーチがケアンズに移籍したことをきっかけにケアンズでの合宿を決めました。
② シティが空港から近いことやホテルの近くにプールがあるのも魅力的です。RyoコーチのおかげでWoreeプールでは早朝時間に開けてもらえることで、午後までの練習に体を休める時間をしっかり取れることも助かっています。温かい気候なのでインフルエンザも気にせずに練習に集中ができることも大きな利点となっています。Woreeプールでは半分屋根がないので水温が高くなることをマイナスに考えるコーチもいるかもしれませんが、オープンウォータースイムのオリンピック会場も高温なので体力的にも精神的にも良い練習になっていると思っています。
③ 全員大阪・枚方の大学生、高校生、中学生ですが、今回は日本選手権やオリンピック選考会に出れる選手だけ連れてきました。
④ フィッツロイ島へ行き島内散策やビーチでシュノーケルを行いました。
⑤ まずはプールに近いという条件で探しました。毎日自炊を行うため簡易キッチン付きのモーテルを利用しています。
⑥ トレーニング後に選手全員で自炊を行なっています。近くのローカルスーパーマーケットで生鮮食品などは購入していますが、日本からも食品や調味料などは持ち込みました。
⑦ Woree Poolだけを利用しています。比較的低めの予算で、かつ日本人コーチがいるので臨機応変に動いてくれて助かっています。
⑧ プール近くのホテルなので歩いて通っています。空港からも近いのでタクシーなども気軽に使えますし、町に出る時は市営バスを使うことも選手にとっても良い経験だと思っています。